糖尿病Q&A(その他)
・海外旅行へ行くときの注意点は?
・ヘモグロビンA1c(HbA1c)って何ですか?
・健康診断で尿糖(−)なのに糖尿病の疑いと言われたが?
・家庭で出来る糖尿病の簡単な発見法はありますか?
・母親が糖尿病なのですが、私も糖尿病になるのでしょうか?
・一度糖尿病になると、治らないのですか?
・「インスリン」って何ですか?
・病院に行ったらいきなり内服薬を飲むように言われました。糖尿病の治療は食事療法と運動療法から始めるのではないのですか?
・疲労回復にビタミン剤やドリンク剤を服用してもよろしいか?
・血糖値が低いのに、ヘモグロビンA1c(HbA1c)がさがりません。
・HbA1cに30を足すと何か分かりますか?
・自分で血糖を測定出来ますか?
・友人から漢方薬の八味地黄丸が糖尿病に効くと勧められました。飲んでも良いでしょうか?
・皇潤を飲んだ方が良いのでしょうか?
正月に注意することは?
毎年1月や2月頃には急に血糖値が高くなり、緊急入院となる患者さんが有ります。その原因としては、 食べ過ぎや運動不足が考えられます。中でも 特に注意すべき食べ物は、お餅、みかん、柿、干し柿など です。
お餅は35グラムで1単位です。大きさでは、5×5×1センチで1単位となります。 少し大きめの餅だと一個で2単位(160Kcal:ご飯で軽く1膳・食パン1枚)と考えた方がよいでしょう。お餅を1食に4個や5個食べることは一般によくあることですが、御飯を4膳や5膳食べたと同じようなことになります。
柿は150グラム(中1個)で1単位となります。みかんは、200グラム(中3個)で1単位となります。みかんを1日に5〜10個食べるようなことは無いでしょうか?柿も2つぐらいペロリと食べてしまわないでしょうか?どちらも食べ過ぎに注意しましょう。 干 し柿は30グラムで1単位となります。みかんや柿に比べても非常にカロリーの高い食品になります。 また冬は寒かったり雪が降ったりして運動ができないことが多く、家に閉じこもっていると、ついついおやつや果物を食べ過ぎたりします。 散歩が出来なければ、ラジオ体操などを少し長い時間することも考えて下さい。毎食後30分〜1時間に10〜20分やってみてはいかがでしょうか?
お節料理の中身は、ほとんどのものがカロリーがあり、そればかり食べているとついつい高カロリーとなってしまいます。 葉っぱものの野菜や大根、海草など食品交換表の表6の食品を多く摂るように、工夫して下さい。 そんな訳で、毎年1月や2月は非常に血糖があがりやすいので、注意して下さい。
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海外旅行へ行くときの注意点は?
1.旅行前に余裕をもって、主治医と相談をしておいて下さい。 (主治医にも旅行予定による薬の投与計画を考える時間や海外旅行用の患者カードを書く時間を与えて下さい。)
2.用意するもの
@内服薬
Aインスリン・アルコール綿・インスリン注射器(ペン・出来れば予備も)・針
B自己血糖測定器・測定用試験紙(電極)・採血器・採血器用針
C海外旅行用患者カード (自分が糖尿病患者で、薬やインスリンが必要であることを証明出来るものを持っておくこと)
D(腕)時計 (安物で良いから2個、一つは日本時間に合わせたまま変更しない)
E砂糖・ブドウ糖・ビスケット・クラッカーなど低血糖時に必要なもの (機内で補食する食べ物も用意しておくこと)
以上@〜Eは必ず機内へ持ち込んで下さい。 (機内で使用するため。また大きな荷物は時として行方不明になることがあります。消耗品は事故・気象による旅行の日程変更を見越し、余裕を持っておくこと。)
3.時差のほとんどないところへの旅行
平常通り内服薬やインスリンを使用することで良いと思われます。
どのようにあまりにもダイエット?
4.時差の有るところへの旅行
あらかじめ時差を調べ、出発時間と到着時間より飛行時間を計算して主治医に出発前に薬やインスリンの使用法を相談しておいて下さい。特にインスリンの使用法や機内食の取り方は難しいことです。日本時間に固定した時計をうまく利用して下さい。(この時計を用意しておくと、食事の間隔やインスリンの間隔が正確に分かり便利です。)
リンク先 (海外旅行時のインスリン注射の注意点)も是非参考にしてください。インスリンメーカー(Lilly)のページで、詳しく書かれています。
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ヘモグロビンA1c(HbA1c)って何ですか?
血糖コントロールの重要な指標で、最近の1〜2ヶ月間の血糖コントロールの状態を表します。その日の食事の影響を受けませんので、食前・食後に関わらずいつ採血しても、ほぼ同じ値です。最近の血糖値が高ければ、ヘモグロビンA1cも高くなります。
もう少し詳しく言うと、ヘモグロビンとは、赤血球の中にあるタンパク質で赤い色をしています。血が赤いのは、ヘモグロビンが赤いからです。血糖値が高いと、このヘモグロビンにブドウ糖がくっつきます。これをヘモグロビンA1cと言い、血糖が高いほどヘモグロビンA1cも増えてきます。
赤血球の寿命が約120日ですので、ヘモグロビンA1cの値も非常にゆっくりと動きます。病院に行く前の日から、食養生をしても、沢山インスリンを� �射して病院に行ってもヘモグロビンA1cの値は変わりません。(ときどきこんな患者さんがいらっしゃいますが、医者にはバレバレです。ただ、せっかくの努力を無駄にしないため(?)、知らん顔をしているだけです。)
HbA1c(NGSP)6.9%〔HbA1c(JDS)6.5%〕以下であれば、良いコントロールとされ、個人差は有りますが、合併症があまり進まないと言われています。反対にHbA1c(NGSP)8.4%〔HbA1c(JDS)8.0%〕以上の値が続くと、合併症が進みます。また、HbA1c(NGSP)またはHbA1c(JDS)が10%以上の人は、近い内にとんでもない合併症が起こることが有りますし、何かの事故で急に手術をしなければならない時に、傷口が膿んでくっつかないというような事も有ります。
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健康診断で尿糖(−)なのに糖尿病の疑いと言われたが?
このような場合もよくあります。 糖尿病の診断は尿糖ではなく、血糖値で行います。 朝食前の空腹時で血糖値が126mg/dl以上が2回確認されれば糖尿病と診断されます。(詳しくは「糖尿病とは」の糖尿病の診断を参照して下さい。)
人によって差は有りますが、一般に血糖値が170〜180mg/dl以上になって初めて尿糖が陽性となります。
朝食前の空腹時に血液検査と尿の検査を受けた場合、血糖値が126〜170mg/dl程度であれば、尿糖が(−)となります。尿糖は(−)ですが、この血糖値では糖尿病の可能性があり、再検査が必要です。
再検査の結果、空腹時血糖が126mg/dl以上または、糖負荷試験で糖尿病型となれば糖尿病と診断されます。
実際には、血糖値とHbA1cと過去の糖尿病歴、症状などを組み合わせで糖尿病の診断をしますので、上記以外 でも糖尿病と診断されることがあります。(3.糖尿病の診断を参照して下さい。)
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家庭で出来る糖尿病の簡単な発見法はありますか?
糖尿病の発見は、食後2時間目の尿糖を測定することである程度可能です。
尿糖測定用の試験紙は薬局で売っています。ただし、注意点がいくつかあります。
1)必ず食後2時間頃の尿を測定して下さい。 食前の尿では糖尿病を見逃す可能性が大です。
2)尿糖測定用の試験紙の使い方を間違えないで下さい。試験紙の使用法をよく読んで、正しく使用してください。試験紙は1秒以上尿につけておかないこと。尿につけてからの時間を正確に計るなどの注意が必要です。
3)ごく軽度の糖尿病の人や糖尿病予備軍の人は尿糖が陰性の事があります。
4)尿糖が出たからと言って、糖尿病では有りません。 あくまでも疑いが有ると言うことです。
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5)糖尿病の診断は血糖値の測定や精密検査をして、医師が行います。
(詳しくは本文「糖尿病とは」を参照して下さい。)
6)すでに糖尿病の治療を行っている人は、この方法は当てはまりません。
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母親が糖尿病なのですが、私も糖尿病になるのでしょうか?
一般に糖尿病そのものは遺伝しませんが、糖尿病になりやすい体質は遺伝する と考えられています。しかし、糖尿病になりやすい遺伝的な素質をもっていても糖尿病になるとは限りません。 糖尿病は遺伝素因を基盤として、環境因子(肥満・運動不足・ストレス・加齢など)が加わった場合に発症してくるとされています。
1卵生双生児の片方が2型の糖尿病であった場合、他方が糖尿病になる確率は約80%と言われています(全く同じ遺伝子をもっていて、ある年齢まで同じような生活をした場合と考えられます)。
一方で、親・兄弟・子供の誰かが、糖尿病である2型の糖尿病の人は約50%で有ると言われています。
つまり、親が糖尿病であっても必ずしも糖尿病になるとは限りませんし、両親が糖尿病で無いからと言って糖尿病にならないという保証も有りません。しかし、中には親戚の中に多くの糖尿病の人がいる家系があることも事実です。
若い人には糖尿病は少ないのですが、40歳以上になると糖尿病の人の割合が増え、60歳以上になると3〜4割以上の人が糖尿病になると言われています。日本人(および日本� �と同系統の民族)は2型の糖尿病になりやすい体質を持っているようです。また、肥満や運動不足などの生活習慣が糖尿病の人を増やしているようです。 糖尿病の発症しやすい生活習慣はやめるべきです。また機会があれば、1年に1回ぐらいは血糖検査を受ける方が良いでしょう。
言い忘れましたが、日本人には1型糖尿病は少なく、1型の糖尿病の人の子供が1型糖尿病になる確率は、非常に少ないものと思われます。
一度糖尿病になると、治らないのですか?
他の病気の為に血糖が一時的に高くなっている場合は、原因疾患を治療することにより血糖は下がります。(糖尿病だと思っていても、詳しく調べて見るとこのような事がたまに有ります。)しかし、 一般的には糖尿病は治りません。食事療法・運動療法などで血糖が下がっても、血糖がうまくコントロールされているだけで、糖尿病が治った訳ではありません。 油断をすると血糖値が上昇してきます。
よく糖尿病になった事を非常に悲観する人が有りますが、自分でコントロール出来る病気でもあり、きちんとさえすれば健康な生活を送れます。まず、「どうして私が!!」から抜け出し、病気を受け入れ、「これからどうするか」を考えることが大事です。
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インスリンとは膵臓で作られるホルモンの一種 で、膵臓から血中へ放出されます。血液によって全身に運ばれ、主に肝臓や筋肉、脂肪細胞などで働き、 血液中のブドウ糖を細胞の中へ取り込む作用があります。 細胞の中へ取り込まれたブドウ糖は、エネルギーとして使用されたり、形をかえてエネルギー源として細胞の中に蓄えられたりします。このようにブドウ糖が利用されると、血糖値が低下します。
体の中には血糖値を上昇させるホルモンはいくつもあるのですが、 血糖値を低下させるホルモンはインスリンだけです。 インスリンが出なくなったり、インスリンが効きにくい状態になると、血液中のブドウ糖がうまく利用されずに血糖値が上昇します。
現在では、人のインスリンを作ることが出来ますので、インスリンは糖尿病の治療薬としても使用されます。インスリンの足りない人にインスリン注射をするような方法をホルモンの補充療法と言い、女性ホルモン、甲状腺ホルモンなどでよく行われております
糖尿病の治療は食事療法と運動療法から始めるのではないのですか?
原則として、糖尿病の治療は食事療法と運動療法から始めます。しかし、血糖値が高すぎる場合や合併症などの状態により、 インスリンや内服薬による治療を早急に開始しなければならない事もよく有ります。 また血糖値があまり高く無くとも、病状により食後の糖分の吸収を押さえる薬などを処方する場合もあります。
一般的に不足しがちなビタミン(例えばビタミンC)や総合ビタミン剤を服用されることは特に問題ないと思います。しかし、場合により現在服用中の薬剤の効果を減少させる事が有りますので、主治医とよく相談してからにして下さい。
ドリンク剤は、糖分やアルコール等が入っていることが多いので、糖尿病の方は飲まれない方が良いでしょう。また、ビタミンにも服用すべき量がありますので、必ずしも錠剤よりドリンク剤の方がビタミンが沢山入っているということでも有りません。食事療法のQ&A:「夜食は食べてよろしいか?」を参照して下さい。
患者さんに分かりやすく説明するときに、以下のような話をされることがあります。
「HbA1cに30を足して、自分の体温の感覚で考えて見て下さい。」
HbA1c 体温
6.5% → 36.5度 だいたいOK。
7.0% → 37.0度 少し高いかな?
8.0% → 38.0度 高い。
9.0% → 39.0度 大変だ。
10.0% → 40.0度 かなりやばい。
12.0% → 42.0度 すぐに入院だ。
こんな風に� �えると分かり易いのではないでしょうか?
血糖自己測定用の機械がありますので、それを使用すると簡単に自分で血糖を測定出来ます。
まず、指先をアルコール綿で消毒後、専用の用具と針で指先からごく少量の血液(米粒の1/3程度の量)を出します。その血液を専用の機械で測定すると、血糖値がすぐに分かります。少し練習すれば、自分で簡単に血糖値を測定出来るようになります。
自分の血糖値がいつでも簡単に測定出来るので、食事・運動・内服薬・インスリンなどと血糖値の関係がよく分かり、多くの患者さんで血糖のコントロールが良くなります。
インスリン治療の人のみ、健康保険を使うことができます。
インスリン治療をしていない人は、自費� ��なります。
各メーカーより、いろいろな機械(値段;1万円〜2万円程度)が出ていますが、かかりつけの医療機関で採用している機械と同じものの方が、困ったときに相談出来て便利だと思います。また、1回測定毎に100〜130円程度の使い捨ての部品が必要です。
機械によりいろいろと特徴がありますので、かかりつけの医師に相談して自分にあった機械を買ってください。
飲んでも良いでしょうか?
漢方薬を患者さんが勝手に飲まれると危険な事があります。漢方薬にも副作用がありますし、現在服用中の飲み薬と飲み合わせの悪い場合もあります。
以下、(株)ツムラの医療用の漢方薬の添付文章(公式な説明書)を資料として書きました。
八味地黄丸の副作用としては、過敏症(発疹、発赤、そう痒等)、肝機能障害、食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、便秘、心悸亢進、のぼせ、舌のしびれが書かれています。また、高齢者は減量すること、妊産婦、授乳婦、小児には投与しないことが望ましいと書かれています。また、
漢方薬はいろいろな成分の入った合剤ですので、効能や名前が違っていても同じ成分が入っている事がありますので、2種類以上の漢方薬を飲むことは注意が必要です。ここでは、市販でよく売れている八味地黄丸(ハチミジオウガン)と糖尿病性末梢神経障害の患者さんに医師により時々処方される牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)を例としてあげてみます。
効能または効果
疲労、倦怠感著しく、尿利減少または頻数、口渇し、手足に交互的に冷感と熱感のあるものの次の諸症:腎炎、糖尿病、陰萎、坐骨神経痛、腰痛、脚気、膀胱カタル、前立腺肥大、高血圧・牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)
疲れやすくて、四肢が冷えやすく尿量減少または多尿で時に口渇がある次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ
成分:
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス4.0gを含有する。
日局ジオウ…………6.0g、日局ブクリョウ……3.0g、日局サンシュユ……3.0g、
日局ボタンピ………2.5g、日局サンヤク………3.0g、日局ケイヒ…………1.0g、
日局タクシャ………3.0g、日局ブシ末…………0.5g・牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス4.5gを含有する。
日局ジオウ…………5.0g、日局タクシャ………3.0g、日局ゴシツ…………3.0g、
日局ブクリョウ……3.0g、日局サンシュユ……3.0g、日局ボタンピ………3.0g、
日局サンヤク………3.0g、日局ケイヒ…………1.0g、日局シャゼンシ……3.0g、
日局ブシ末…………1.0g
(赤字の成分が重複しています。)
効果のところのみを見ると一見違う薬のように思ってしまいますが、2つ薬は多くの成分が重複していおり、同時に飲むと副作用がでる可能性があります。
漢方薬に限らず薬は、医者によく相談して飲んでください。また、他の医師の薬も同時に飲んで良いか医師に相談してください。
テレビでの広告を見ていると飲みたくなる人も多いと思いますが、特に飲む必要はないと思います。
皇潤の特徴はヒアルロン酸が入ってる事です。その他は、総合ビタミン剤と同じような成分です。
ヒアルロン酸は医薬品としては、関節内注射薬や眼薬、眼科手術用の薬として使用されていますが、経口薬としては私の調べた範囲内では見あたりませんでした。
経口での効果は確認されていないので、わざわざ飲む必要はないと思います。
ヒアルロン酸について、詳しくは国立健康・栄養研究所のホームページをご覧下さい。
以下に一部を抜粋します。
安全性:
・経口摂取の安全性については信頼できる充分なデータが見当たらない。適切に用いれば、外用および非経口摂取でおそらく安全と思われる。
有効性:
・経口摂取によるヒトでの有効性については信頼できるデータは見当たらない。
・外用で口腔粘膜の炎症の治療や、眼内注射の白内障治療の補助剤としては、おそらく有効と思われる。
・関節内投与で骨関節炎の治療に有効性が示唆されている。
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